11月 042012
 

シリコンバレーという言葉を聞いて、世界一のIT技術とハイテク産業の町だとか、起業家や個人投資家(エンジェル)がごろごろいる町だとか、アメリカ経済を牽引するすごい町だというイメージを抱く人は多いと思います。
それらは全て正しいですし、同時に全て間違いです。
この記事ではあなたの先入観を全力で破壊します。
それでも、実際にアメリカ初上陸する時には、自分の想像と現実が少なからず違うことを思い知らされるでしょう。
そのための心構えだと思って読んでみてください。

「シリコンバレー」という名前

シリコンバレーはもちろん俗称であり、政府機関などは郡の名前に由来する「サンタクララバレー」と呼ぶのが正式名称とされています。
日本語に直訳すると、「Silicon=珪素」「Valley=谷」ですが、珪素が半導体の材料で、半導体産業が発達したからそう命名されたということぐらいは皆さん知っているでしょう。
その半導体産業が発達する前は、この地一帯は果樹園であり、ブドウなどが栽培されていたことから、Valley of Heart’s Delight(心を楽しませてくれる谷)と呼ばれていた時期もあります。

シリコンバレーの鳥瞰図

シリコンバレーの鳥瞰図。Google Earthより

ちなみに「谷」のほうですが、ベイエリア=湾岸、つまり海に面しているのに谷ってどういうことか?イメージしにくい人も多いのではないでしょうか。
実は画像のように、シリコンバレーの北東側に Diablo Range(ディアブロ山脈)、南西側に Santa Cruz Mountains(サンタクルス山脈)があって囲まれているので、谷と呼ばれているのです。
言うなれば、谷がV字型に開いていて、一番開いている部分にサンフランシスコ湾があるんです。
日本で谷というと土地が狭いイメージになりがちですが、シリコンバレーはとにかく広いです。東京23区よりも広いです。定義によっては沖縄県よりも広いです。

シリコンバレーも夏は暑いし冬は寒い

カリフォルニアというと一年中温暖な地中海性気候というイメージですが、残念ながらそれは太平洋沿いだけです。
シリコンバレーは山に囲まれていて直接太平洋に面してない分だけ、内陸っぽい気候になります。
とは言っても、比較的海に近い Mountain View では夏でも30℃(86F)を越えることは滅多にありませんが、内陸部である South San Joseでは35℃(95F)を越える猛暑日が連日続きます。但し、朝夕は冷えるので気を付けてください。
逆に冬は、海に近い Mountain View では 10℃(50F)前後、内陸部の South San Jose では5℃(41F)前後まで下がります。更に山の頂上付近では積雪することもあります。

日本と明らかに違うのは降水量や湿度で、これに関しては冬以外ほぼ一年中晴れて乾燥しています。天気予報いりません。
冬の朝だけ、霧が山から谷に下りてくることがあります。たまに小雨も降ります。しかし、傘の出番は年に数回しかないでしょう。
注意してほしいのは紫外線で、シリコンバレーではまだ寒さの残る時期から紫外線が強くなるので、日焼けしたくない人は長袖や帽子、日焼け止めクリームを常備してください。

シリコンバレーは都会ではない

シリコンバレーの人口は168万人(2000年国勢調査)。これだけを見ると、一見立派な大都市のように見えます。
ところが、前述のように面積が東京23区よりも広いため、人口密度が503人/kmとかなり少なく、実際はアメリカの典型的な郊外であることがわかります。
人口密度だけで比較した場合、日本の都道府県だと香川県より下、茨城県とほぼ同じということです。どれくらい田舎なのかはある程度想像できるのではないでしょうか。

実際にシリコンバレーに来て、白人が思ったより少ないという感想を抱く人は多いです。
それもそのはず、白人が人口の54%、つまり約半数しかいません。他にも人口のうちヒスパニック・ラテン系が24%、アジア系が26%、黒人が3%など、いろんな人種がいるのも特徴の一つです。

シリコンバレーのアジア系人口

シリコンバレーのアジア系人口。赤い地域ほどアジア系住民の割合が高い。Wikipediaより

一世帯当たりの平均収入は7万4千ドルでアメリカでも有数の高い所得水準であり、「庭付き一戸建て」がずらりと並ぶ高級住宅地もたくさんあります。
但し、シリコンバレー全体が高級住宅地というわけではなく、East Palo Alto や East San Jose など低所得者層が多く住む地域もあります。

シリコンバレーは治安が良い

シリコンバレーの中心である San Jose は、全米の50万都市の中でも毎年1位2位を争うほど治安のいい都市です。
しかし、どんなに治安がよくても油断してはいけません。
治安が良いということは、裏を返せば警察官やパトカーが多かったり、法律が厳しかったりするという意味なので、気を付けてください。

シリコンバレーはIT企業の集積地?

シリコンバレーに約8000社あると言われているIT企業。
毎年、新しく1000社が生まれては1000社が廃業するといわれています。
しかし、街を見渡しても、IT企業がひしめきあっている場所はほとんどありません。(Downtown San Jose に少しある程度)

  1. 郊外(田舎)だから。面積が広いので、実際はぽつぽつと点在するという印象です。例えるなら、「東海地方は自動車会社の集積地」みたいなもの。
  2. IT産業という特質上、一か所に集まる必要がないから。これも理由1とつながっていますね。
  3. 実際に目に触れるのは大企業である数十社だけで、残りの99%はガレージで稼業しています(笑)と言えば大げさですが、インキュベーターと呼ばれる施設の中で小オフィスを借りて稼業していたりするので、なかなか見えないというのはあります。
  4. どんな街も一種類の産業だけでは成り立たないから。某バイオハザ○ドに出てくるラク○ンシティのア○ブレラ社ならともかく。というわけで、シリコンバレーではIT以外の会社もたくさん見かけます。

起業家やエンジェルは都市伝説?

IT企業を作り上げてきた起業家、及び起業家を育ててきた個人投資家(エンジェル)って本当にいるんでしょうか?いたとして、会えるんでしょうか?
結論:「東京では芸能人に会える」のと同じ程度に会えます。
まず会ってみたい人は、誰が起業家で誰が投資家か顔や名前を知る必要があるでしょう。でないと、仮に街ですれ違っても気づきません。
と言っても、出会い頭を期待するのは効率が悪いので、さまざまな団体に所属したり活動に参加したりして、ネットワークを広げていくほうが現実的です。
そう簡単に会う事ができるわけではないので、会いたい人は会うための努力をしてください。

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 Posted by on 2012/11/04

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